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Canon「EOS Kiss M」のスペックレビュー − Kissの名を冠したミラーレス一眼

2018年7月12日

Canonは、エントリークラスの一眼レフカメラにおける代表的なブランド「EOS Kiss」を製品名に初めて冠したミラーレス一眼 EOS Kiss M を2018年3月23日から発売します。  

どんなカメラなの?

  • APS-Cサイズ・約2410万画素 CMOSセンサー
  • 最新の画像処理エンジン DIGIC 8
  • デュアルピクセルCMOS AF が進化
  • 最大99点の測距点(対応する交換レンズでは最大143点)
  • AF・AE(自動露出制御)連写は最高約7.4コマ/秒
  • 動画 4K/30p
  • 電子ビューファインダー  0.39型/約236万ドット
  • ワイド3.0型(3:2)/約104万ドット液晶
  • 撮影可能枚数 235枚
  • 大きさ 116.3(幅)×88.1(高さ)×58.7(奥行)mm
  • 質量 ブラック:約387g/ホワイト:約390g(CIPA準拠)

タッチパネルによる快適な操作性、バッテリーはやや貧弱

カラーバリエーションはブラックホワイトの2色。デザインは一眼レフのKissシリーズの外観をそのまま継承したような感じでしょうか。

デザインとサイズ感は「EOS M5」に近い感じですが、バリアングル液晶モニターの搭載しているところは異なります。コントロールダイヤルはM100と同様に一つだけで、操作系はEOS M5と比べると省略されている部分が多くあります。しかし、EOS M5から省略されている操作性はタッチパネルの操作で代用できる機能も多く、コンパクトさとうまく両立させていると感じます。キャノンのタッチパネルは操作の軽快さに高評があり、特にスマートフォンの扱いに慣れた人には扱いやすいでしょう。

重さは、カラーによって微妙に違いがあって、ブラックが約387g、ホワイトが約390gです。ファインダー付きで400gを下回るのは、なかなかのコンパクトさだと思います。ただ、その代償なのかもしれませんが、撮影可能枚数が235枚で、バッテリーライフは貧弱と言わざるをえません。また、USB充電に対応していないところも残念なところですね。また、防塵防滴ではありません。

  EOS Kiss M
防塵防滴
バッテリー LP-E12
(875mAh)
撮影枚数(CIPA基準) 235枚
USB充電
対応記録メディア SD×1
(UHS-I対応)
重さ
(バッテリー、記録メディア含む)
ブラック:約387g
ホワイト:約390g
重さ
(本体のみ)
351g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
116×88×59mm 

最新のセンサーと新画像処理エンジン「DIGIC8」を搭載

EOS Kiss Mにはキヤノンの最新APS-Cセンサーと画像処理エンジン(DIGIC8)が採用されています。センサーは有効2,410万画素のCMOSセンサー。既存モデル「EOS M5」「EOS M6」「EOS M100」と違って、画像処理エンジンがDIGIC7から「DIGIC8」になりましたが、これはキヤノン初の最新画像処理エンジンです。(執筆時点では)他のミラーレス一眼のみならず、上位モデルの一眼レフにもまだ搭載されていません。

最新の画像処理エンジン(DIGIC8)によるメリットは次のようにうたわれています。
・シャープネスの向上とノイズの低下
・AF性能の向上
・手振れ補正機能の向上
・新画像フォーマットによるファイルサイズの高圧縮化
・画像補正の高度化

手ブレ補正も搭載し、効果は従来のEOS Mシリーズ比で0.5段分向上とうたわれます。対応レンズを使用した場合は、既存のブレ検知ジャイロセンサーに加えCMOSセンサーの画像情報からもブレ量を検知し、補正効果を高めるといいます。

また、DIGIC8搭載に伴い、新たにCR3フォーマットを導入。従来のCR2ではファイルサイズを減らすために「M-RAW」「S-RAW」形式を選んで少ない画素数でも記録できたが、CR3では画素数をそのままにファイルサイズが小さくなるという「C-RAW」(Compact RAW)が用意されています。

  EOS Kiss M
有効画素数 2410万画素
センサータイプ CMOSセンサー
センサーサイズ APS-C
(23.6~15.6mm)
ISO感度
(拡張感度)
100 ~25600
(拡張 51200)
ボディ手ぶれ補正
(最大補正効果)

(5軸 5.5段)
※動画撮影のみ
画像処理プロセッサ DIGIC8
RAW出力 14bit .CR3(キャノン独自)

キヤノン史上、最もAFカバーエリアが広い

オートフォーカスは、デュアルピクセルCMOS AFが機能向上し、測距エリアは通常で画面内の縦横約80%×80%をカバーし、さらに「対応レンズ」を用いた場合は約88%×100%に拡大し、測距点も最大99点から143点へと拡大します。新画像処理エンジンDIGIC8により被写体と背景の奥行き情報が活用できるようになり、オートフォーカスの捕捉性能が向上しているとのことです。

EOS KISS M は「横88%×縦100%」と画面の大部分をカバーします。

比較として、EOS Kiss X9iにはEOS 80Dなどの中級機と同等のAFセンサーを搭載しますが、フォーカスエリアもAFポイント(45点)の数も、EOS KISS M とはかなり差があります。

 

 

人物の顔の瞳(カメラに近い側)に自動でピントを合わせる「瞳AF」も搭載。ポートレート撮影に活躍する有望な機能ですが、ちょっとだけ残念なことにAF追尾には非対応(シングルショットのみ)とのこと。

また、フォーカスは、1点、追尾優先、ゾーン、瞳AFの4種類しかないため、柔軟で繊細なAF設定とまではいきません。もったいないことに、最大141点のAFポイントがあるにも関わらず、ゾーンエリアのサイズを変えることができないという。。この機能はぜひ拡充してもらいたいところです。

連写速度はAF追従で約7.4コマ/秒、AF固定で約10コマ/秒と、ライバル機と比べても速めです。中級機並の実力と評価できるでしょう。EVFを覗きながら背面モニターでAF測距点を操作できる「タッチ&ドラッグAF」機能も利用できます。

しかし、連続撮影枚数はRAW出力で10枚、JPEG出力で30枚程度と、連射速度に対してバッファのバランスが良くありません。容量を使い切ると再び連写できるようになるまで時間がかかりますが、RAWなら1秒ぐらい、JPEGでも5秒足らずでバッファを使い切ってしまいます。

  EOS Kiss M
AF方式 デュアルピクセルCMOS AF
(像面位相差+コントラスト)
AF測距点 99点
(最大143点)
測距範囲 EV -2~18
シャッタースピード
(メカシャッター)
1/4000~30秒
電子シャッター
(サイレントモード)
フラッシュ同調速度 1/200秒以下
最大連写 7.4コマ/秒(AF追従)
10.0コマ/秒(AF固定)
連続撮影バッファ  RAWなし:89枚
RAWあり:21枚
AFフレーム – 1点AF
– 顔+追尾優先AF
– ゾーンAF
– 瞳AF

バリアングル式の使いやすいタッチパネルを搭載

ファインダー

  EOS Kiss M
ファインダー EVF
ドット数 236万ドット
ファインダー視野率(上下/左右) 100 % / 100 %

背面モニター

液晶モニターは3型104万ドットのバリアングル式です。垂直方向にしか可動しないチルト式モニターと違って、さらに柔軟な角度にモニターを傾けられることがメリットです。ミラーレスでバリアングル式を採用する機種はまだ少ないので、これは貴重な採用ですね。また、タッチパネルにも対応しておりますが、キャノンのタッチパネルはサクサク操作ができると評価が高いので、撮影がはかどります。

EOS Kiss M

  EOS Kiss M
画面サイズ 3.0 インチ 液晶モニター
ドット数 104万ドット
可動式モニタ バリアングル式
タッチ操作

動画

4K/24p動画記録のほか、4Kフレーム切り出し、4Kタイムラプスに対応しています。ただし、いずれもセンサー中央部をクロップ(1.16x)という制限があります。フルHDで120p/100pのハイフレームレート撮影も可能。

また、動画撮影時はオートフォーカスがコントラストAFのみで、位相差AFが使えません。

  EOS Kiss M
記録方式 MP4/AAC-LC
圧縮方式 H.264
4K 24p 120Mbps
Full HD 60p 60Mbps
HD 60p 26Mbps
ハイスピード動画 HD 120p(AF固定)
クロップ倍率 – 4K 1.16x
HDR
外部出力

インターフェース

Wi-Fi/NFC/Bluetoothの通信に対応。撮影と並行して画像をスマートフォンに自動転送する機能を新たに搭載しました。パソコンソフト「Image Transfer Utility 2」使用時は、事前にペアリングしたPCに差分データのみを自動転送でき、さらにPCからクラウドへの自動送信も可能となるなど、便利な機能が増えています。

  EOS Kiss M
映像/音声出力・デジタル端子 micro USB
外部マイク入力端子 Φ3.5mm
HDMI タイプD
Wi-Fi
Buletuooth
(Ver 4.1)
電子水準器
ホットシュー
内蔵フラッシュ
(GN5.0)
その他  

総評

EOS KISS M は、EVFを搭載したカメラにしては、コンパクトで、良好な画質のバランスの良いカメラだと思います。操作系はダイヤルや物理ボタンが少ないと感じるかもしれません。素早い設定変更ができないことや、オートフォーカスの自由度の課題もあることから、専門的で本格的な撮影には向いていません。ただ、使いやすいタッチパネルと分かりやすいカメラ操作システムがそれをキチンと補っていますので、個人用途であれば、十分な操作性です。

欠点としては、(個人の好みも問題もあると思いますが)見た目がちょっと地味というか、いかにもカメラって感じがするところでしょうか。せっかくEVFで構造の自由度が高まったのであれば、もっとデザインに拘ってもよかったのではないかと感じます。

また、レンズの少なさも欠点としてよく指摘されます。ただ、対応する交換レンズは種類は少ないものの、広角、望遠、マクロ、明るい単焦点と最低限のラインナップは揃っていて、しかも、価格が安めに設定されています。一通りのラインナップを揃えようとすると、他メーカーよりも遥かに安く揃えることができそうです。サードパーティ製のレンズなども充実してくるとさらに良いのですが。

良いところ

  • 最新のセンサーと画像処理エンジンによる素晴らしい画像
  • ファインダー搭載で約390gのコンパクトボディ
  • AF追従で約7.4コマ/秒、AF固定で約10コマ/秒の高速連写
  • Bluetoothによるペアリング機能
  • 進化したオートフォーカスと瞳AF

微妙なところ

  • バッテリーライフが短い(235枚)
  • 連射時のバッファが少ない
  • USB充電に非対応
  • 動画撮影がコントラストAFのみ
  • フォーカスモードが少ない
  • 対応マウントのレンズラインナップが少なすぎる