PRリンク

「キヤノン EOS R」と「ニコン Z6」と「ソニー α7 III」の違いを比較してみた【スペックレビュー】

2018年9月7日

9月5日、ついにキヤノンが、フルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ「EOS R」を発表しました。9月12日10時より予約開始し、10月下旬に発売されます。

フルサイズミラーレスは今年3月に発売されたソニーのα7 III のスペックの高さが話題となって、ちょっと前にはニコンが「Nikon Z7/Z6」を発表。それに追随するようなタイミングで大御所キヤノンが登場しました。フルサイズミラーレス一眼は、ニッチな製品であるライカを除くと、ソニー一択の寡占市場がかつてでしたが、今はそこにニコンとキヤノンが加わって三つ巴の状況になりました。

ここでは、キヤノン、ニコン、ソニーのフルサイズミラーレスのスタンダードモデルである、EOS R、Z6、α7 IIIのスペックを比較していきたいと思います。

紹介動画(公式)

ハンズオン動画

基本情報

EOS R の予想実勢価格は24万円前後です。一眼レフユーザーからすると、売出し価格40万円オーバーだったEOS 5D Mark IVと同等のセンサーと新しい処理エンジンとAFシステムを実装していて、この値段は安い、という印象を持った人も多いと思います。ライバルとの価格帯からすると、α7 III と同程度で、Z6は少し高い27万円前後です。

  EOS R Z6 α7 III
メーカー Canon Nikon SONY
レンズマウント RFマウント Zマント FEマウント
発売日 2018年10月下旬 2018年11月下旬 2018年3月23日
参考価格 – ボディのみ:24万円前後 – ボディのみ:27万円前後
– 24-70mm レンズキット:
34万円前後
– FTZ マウントアダプターキット:
29万円前後
– 24-70 + FTZ マウントアダプターキット:
36万円前後
– ボディのみ
23万円前後
– レンズキット
26万円前後
キットレンズ   NIKKOR Z 24-70mm f/4 S FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS

デザイン・操作性

EOS Rのボディは、135.8×98.3×84.4mmで、ソニーとニコンよりもやや大きめ。ただし、グリップのホールド感はソニーのサイズでは小さすぎる、という意見もあるため、一概に大きいのが悪いとはいえません。重さに関しては、どのカメラも十分にコンパクトですが、ソニーが最も軽く650gです。

その他、ユニークな機能として、EOS Rには電源オフ時にメカシャッターを閉じてセンサーへゴミ付着を防ぐ機能があります。

撮影枚数は、大容量バッテリーを搭載するソニーが有利で最大710枚。ニコンは380枚、キヤノンは370枚です。また、ソニーの記録メディアはSDカードのデュアルスロットを備えますが、キヤノンとニコンはシングルスロットです。

  EOS R Z6 α7 III
防塵防滴
(使用温度,湿度範囲)

(0℃~40℃、85%以下)

(0℃~40℃、85%以下)
△ ※配慮した設計
(不詳)
バッテリー
(容量)
LP-E6N
(1800mAh)
EN-EL15b
(不詳)
NP-FZ100
(2280mAh)
撮影枚数(CIPA基準) モニター使用時:370枚 ファインダー使用時:310枚
モニター使用時:380枚
ファインダー使用時:610枚
モニター使用時:710枚
USB充電
対応記録メディア SD×1
(UHS-I/UHS-II対応)
XQD×1 SD×2
(UHS-II/UHS-I)
※スロット1のみUHS-II
重さ
(バッテリー、記録メディア含む)
660g 675g 650g
重さ
(本体のみ)
580g 585g 610g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
135.8×98.3×84.4mm 134×100.5×67.5mm 127×96×74mm

イメージセンサー・画像処理

ソニーとニコンは、2000万画素台のスタンダードモデルの他に、4000万画素超えの高画素モデル(Nikon Z7、Sony α7Rシリーズ)のラインアップを揃えますが、キヤノンはEOS Rの1機種のみで画素数はその中間を狙ったのか3030万。これから、ライバルと同じように高画素モデルを発売するのかは未定です。

ソニーとニコンは、いずれも最大5段分の効果のある「5軸手ブレ補正」をボディ内に搭載しますが、キヤノンは手ぶれ補正の搭載は見送ったようです。

  EOS R Z6 α7 III
有効画素数 3030万画素 2450万画素 2420万画素
センサータイプ CMOSセンサー 裏面照射型 CMOS
(Exmor R CMOS)
※裏面照射型
センサーサイズ 35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
ISO感度
(拡張感度)
100~40000
(50,51200,102400)
100~51200
(50,204800)
100〜51200
(50 / 204,800)
※動画は102,400まで
ローパスフィルターレス
ボディ手ぶれ補正
(最大補正効果)

(5軸 5.0段)

(5軸 5.0段)
画像処理プロセッサ DIGIC 8 EXPEED 6 BIONZ X
RAW出力 14bit(キヤノン独自:.CR3) RAW 12ビット/14ビット
(ロスレス圧縮、圧縮、非圧縮)
RAW 12ビット/14ビット
(圧縮、非圧縮)

オートフォーカス・連写

キヤノンは、5655点のDPAFポジションを持ち、縦100%・横88%のAFカバーエリアを持ちます。さらに、検出範囲-6〜EV(F1.2レンズ)という低輝度でのAF性能が突出しています。EV-3のα7 IIIから3段絞っても、EOS RではAFが機能するということです。キヤノンいわく、「肉眼では被写体が見えなくてもEVFで見える」としており、暗いところでもAFが機能しそうです。瞳AFも搭載しますが、残念ながらAF-S時のみです。

連射は、EOS Rは最大8コマ/秒までですが、これは最初のショットに焦点を固定する場合で、AF追随(AEは追随しない)の連続オートフォーカスを行うには5コマ/秒までスピードを落とす必要があります。

Z6はAF追随で12コマ/秒まで連射できますが、露出は最初のフレームで固定されます。5.5コマ/秒の連射では、AEとAFの両方が追随します。

α7 III が10コマ/秒(AF/AE追随)と秀でており、さらにバッファ性能も良好です。

  EOS R Z6 α7 III
AF方式 デュアルピクセルCMOS AF
(像面位相差+コントラスト)
ハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
ファストハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
像面位相差AF 測距点
(AFエリア 上下/左右)
5655点
(100% / 88%)
273点
(90% / 90%)
693点
(93%)
コントラストAF 測距点 不詳 不明 425点
検出範囲 -6~18 EV -2~19 EV -3〜20EV
シャッタースピード
(メカシャッター)
1/8000〜30秒 1/8000~30秒 1/8000〜30秒
電子シャッター
(サイレントモード)
1/8000〜30秒 1/8000~30秒 1/8000〜30秒
フラッシュ同調速度 1/200秒以下 1/200秒以下 1/250秒以下
最大連写とバッファ
※メカシャッター時
– 5コマ/秒(AF追随)
– 8コマ/秒(AF固定)
– 5.5コマ/秒(AF/AE追随)
– 12コマ/秒(AF追随)
– 10コマ/秒(AF/AE追随)
連続撮影バッファ – RAW:47枚
– RAW+JPEG:39枚
– JPEG:100枚
– 12 bit RAW ロスレス圧縮:35枚
– 14 bit RAWロスレス圧縮:43枚
– 12 bit RAW 圧縮:37枚
– 14 bit RAW 圧縮:43枚
– 12 bit RAW 非圧縮:33枚
– 14 bit RAW 非圧縮:34枚
– JPEG FINE:44枚
– JPEG BASIC:46枚
– RAW:89枚
– RAW 非圧縮:40枚
– RAW+JPEG:79枚
– RAW 非圧縮+JPEG:36枚
– JPEG エクストラファイン:163枚
– JPEG スタンダード:177枚
AFフレーム – 瞳AF(AF-Sのみ)
– 顔AF
– 追尾優先AF
– 1点AF
– 領域拡大AF
– ゾーンAF
– ラージゾーンAF
– 顔AF
– ピンポイントAF
– シングルポイントAF
– ダイナミックAF
– ワイドエリアAF
– オートエリアAF
– 瞳AF
– 顔AF
– ワイド
– ゾーン
– 中央
– フレキシブルスポット S/M/L
– ロックオン
レリーズ耐久回数 約20万回 約20万回 約20万回

露出・作画機能

  EOS R Z6 α7 III
測光方式 – 評価測光
– 部分測光
– スポット測光
– 中央部重点
・マルチパターン
・中央部重点
・スポット
・ハイライト重点
– マルチ
– 中央重点
– スポット
– 画面全体平均
– ハイライト重点
測光範囲 EV 静止画撮影:-3~20 EV
動画撮影:-1~20 EV
-4~17 EV −3~20EV
露出補正 ±3 ±5 ±5
光学補正 – 周辺光量
– 色収差
– 歪曲収差
– 回折
– DO
– 周辺光量
– 倍率色収差
– 歪曲収差
– 回折
– 周辺光量
– 倍率色収差
– 歪曲収差
– 回折
HDR撮影
多重露光
ボディ内RAW現像
インターバル撮影
タイプラプス動画
( 4K)
ブラケット   – AE
– フラッシュ
– ホワイトバランス
– アクティブD-ライティング
– WB
– AE
– フラッシュ
– DRO
その他 – フリッカー低減 – フリッカー低減 – フリッカー低減

ファインダー・背面モニター

ファインダー

  EOS R Z6 α7 III
ファインダー EVF EVF EVF
ドット数 369万ドット 有機EL 369万ドット 有機EL 236万ドット 有機EL
ファインダー視野率
(上下/左右)
100% / 100% 100% / 100% 100 % / 100 %
ファインダー倍率
(35mm換算)
0.71倍 0.8倍 0.78倍
アイポイント 23mm 21mm 27mm
最高フレームレート 不詳 60fps 60fps

背面モニター

  EOS R Z6 α7 III
画面サイズ 3.15インチ 3.2インチ 3.0型
ドット数 210万ドット 210万ドット 92万ドット
可動式モニタ バリアングル式 チルト式 チルト方式
(上 107°、下 41°)
タッチパネル
その他     MENUでのタッチ操作は不可

動画

いずれの動画も、4Kは30pまでで、ローリングシャッターの影響を受けます。α7 IIIは24pではクロップなし、30pで1.2倍のクロップですが、EOS Rはさらに大きく1.7倍クロップで、実質的にAPS-Cフレーム枠で撮影することとなります。

4K 作例動画(キヤノン公式)

  EOS R Z6 α7 III
ファイル形式 – MP4 – MOV
– MP4
– XAVC S
– AVCHD 2.0
映像圧縮方式 H.264/MPEG-4 AVC H.264/MPEG-4 AVC H.264/MPEG-4 AVC
音声記録方式 – リニアPCM
– AAC
– リニアPCM
– AAC
– LPCM
– Dolby Digital
4K – 30p/25p/24p
– 480Mbps
– 30p/25p/24p
– 100Mbps
(29分まで)
– 30p/24p
– 100/60Mbps
(29分まで)
FHD – 60p/50p
– 180Mbps
– 120p/100p/60p/
  50p/30p/25p/24p
– 100Mbps
  (29分まで)
– 120/60/30/24p
– 100/60/50Mbps
(29分まで)
4K撮影のクロップファクター – 4K/30p:1.7倍 不詳 – 4K/24p:なし
– 4K/30p:1.2倍
ハイスピード動画   – FHD 30p ×4倍
– FHD 25p ×4倍
– FHD 24p ×5倍
FHD 120p 100Mbps
(30分まで)
HDR動画  
Log記録 – Canon Log – N-Log出力 – S-Log2
– S-Log3
– HLG
外部出力 4:2:2 10bit 4:2:2 10bit 4:2:2 8bit
その他 デュアルセンシングIS – ゼブラ
– ピーキング
– パワー絞り
– ガンマ表示アシスト
– TC/UB
– ゼブラ
– ピーキング
– AF駆動速度

インターフェース

  EOS R Z6 α7 III
デジタル入出力 USB Type-C(USB3.1 Gen1) Type-C端子(SuperSpeed USB) – USB Type-C
– Micro USB
HDMI Type C Type C Type D
外部マイク入力端子 φ3.5mm φ3.5mm φ3.5mm
ヘッドホン出力端子 φ3.5mm φ3.5mm
Wi-Fi
Bluetooth
(Ver 4.1)

(Ver 4.2)

(Ver 4.1)
電子水準器
ホットシュー
内蔵フラッシュ

レンズシステム

  EOS R Z6 α7 III
メーカー Canon Nikon SONY
レンズマウント RFマウント Zマント FEマウント
レンズ内径 54mm 55mm 46mm
フランジバク 22mm 16mm 18mm
レンズ本数
(純正のみ)
4本 3本 25本

レンズに関しては、ソニーのFEマウント(フルサイズ対応のEマウントレンズ)は純正レンズだけですでに25本が発売されていて、これに加えシグマやツァイスなどのサードパーティ製レンズも充実していることから、先行の利が発揮されます。

キヤノン「RFマウント」は、30年続いたEFマウントと同じ内径ですが、フランジバックは44mmから20mmへと短くなっています。Zマウントはキヤノンとほぼ同じ55mmの内径ですが、フランジバックはさらに短い16mmです。

「RFマウント」は、EFともEF-Mとも互換性はありません。アダプター経由でEF・EF-Sレンズを無制限に使用することができます。しかし、ZマウントやEマウントよりもフランジバックが長いため、Eマウント・Zマウントレンズはアダプター経由の装着はできないでしょう。

次に、EOS Rが、アダプターなしに利用できるレンズは10月下旬から発売されるRFレンズ4本のみ。なお、キヤノンは、RFレンズのロードマップのようなものもも公開していますが、4本のレンズ以外の発売予定レンズは具体的な記載はありません。

  • RF35mm F1.8 MACRO IS STM
  • RF50mm F1.2 L USM
  • RF24-105mm F4 L IS USM
  • RF28-70mm F2 L USM
  • マウントアダプター
    • マウントアダプター EF-EOS R
    • コントロールリング マウントアダプター EF-EOS R
    • ドロップインフィルター マウントアダプターEF-EOS R×2

ニコンのZマウントも、既存のFマウントとの互換性はなく、これからZレンズを3本とマウントアダプターを発売します。

  • 「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」:価格は136500円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」:価格は114000円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」:価格は83500円(税別)、2018年10月下旬予定。
  • 「マウントアダプター FTZ」:価格は36500円(税別)、2018年9月下旬予定。

また、今後発売予定のレンズロードマップも公開しています。これによると、

  • 2018年(3本)
    • NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
    • NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
    • NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
  •  2019年(6本)
    • NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
    • NIKKOR Z 20mm f/1.8
    • NIKKOR Z 85mm f/1.8
    • NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
    • NIKKOR Z 70-200mm f/2.8
    • NIKKOR Z 14-30mm f/4
  • 2020年(6本)
    • NIKKOR Z 50mm f/1.2
    • NIKKOR Z 24mm f/1.8
    • NIKKOR Z 14-24mm f/2.8
    • その他3本
  • 2021年(8本)
    • 8本

というなかなかのハイペースでレンズ群を充実させていく気負いが見られます。

総評

ソニーが、ミラーレスのフルサイズ機のα7を発売したのが2013年11月15日ですから、そこからすでに5年近くが経過します。その間、ソニーはカメラシステムを第3世目であるα7 IIIへの進化させ、豊富なレンズ群を開発してきました。カメラのスペックでは長くシステムを開発してきたソニーに分がありますし、何よりミラーレス用のレンズ群が純正、サードパーティ製ともに潤沢にあります。

キヤノンは、RFレンズ4本と合わせて、EF-Mレンズ1本、EFレンズ2本の発表を行いました。これは、「EFもEF-Mユーザーも見捨てません」というメッセージのように受け止められました。しかし、RF、EF、EF-Mの3つのマウントのレンズに公平に開発リソースを費やすことは難しいでしょう。特にEF-Mマウントは、歴史も短く、既存のレンズ群がそれほど充実しているわけではありませんから、RFマウントの登場で存在価値が見出しにくくなったと思います。30年以上の歴史を持つEFマウントも同じで、ZマウントやFEマウントとの開発競争によって、ゆくゆくはRFマウントに主役のポジションを譲る可能性があります。

とはいえ、ニコンとキヤノンは、2018年中は利用できるレンズがそれぞれ3本と4本のみで、一通りのレンズ群が充実するのは早くても2020年頃になりますから、それまではアダプター経由でEFマウントやFマウントのレンズを利用するのが現実的です。でも、RFレンズやZレンズが充実する頃には後継機種が発売されるでしょうから、既存レンズ群を持つニコンやキヤノンの一眼レフユーザーであれば「アダプターを使用せずにすむ一眼レフをしばらく使い続けたほうが良い」という意見もよく聞きます。確かに、よほどの新しいもの好きでない限り、Z6とEOS Rは、既存ユーザーが急いで買い換える必要性は少ないように思います。

 

画像引用:キヤノン、ニコン、ソニー