FUJIFILM「X-T100」と「X-T20」を比較してわかった10の違い
富士フイルムが、APS-Cセンサーを搭載したXシリーズのラインナップとして、一眼レフスタイルのエントリー機「X-T100」を新たに発売しました。
ポジションとしては、同じくエントリモデルであるX-A5にEVFのファインダーを搭載したような機種になります。ミドルクラスのX-T20と性能的には似ていて、それよりも少しだけ機能を省略したり性能を落としたようなイメージです。クラスとしてはX-T20の方が上位モデルになりますが、X-T100の方が新しい分だけ機能が多い部分もあり、どちらを買うか迷っている人もいるかと思います。そこで、ここではX-T100とX-T20の違いを比較していきます。
共通していること
- ISO感度200〜12800(拡張 100、25,600、51,200)
- シャッタースピード(メカシャッター1/4000〜30秒、電子シャッター1/32,000〜30秒)
- シングルポイント、ゾーン、ワイド/トラッキングAFを備えたハイブリッドAFシステム
- TTLフラッシュ互換のホットシューと内蔵ポップアップフラッシュ
- 約236万ドットの有機EL(0.62倍)のEVF
ボディサイズの違い
camerasize.comから製品のサイズを比較しました。
X-T100の外形寸法は121×83×47mm、重量は約449g(バッテリー、メモリカード込み)。X-T20は、118×83×41mm、約383g(バッテリー、メモリカード込み)ですから、X-T100の方がやや大型で重量もあります。スペックには現れませんが、ビルドクオリティはX-T20の方が優れているという評価が多くあります。
操作系は、X-T20はより高度なユーザーを対象としているため、シャッタースピード、露出補正、ブラケットモード、前面と背面のコントロールダイヤルなど、物理ダイヤル類が充実しています。また、前面に「フォーカスモード切換レバー」があり、これによりマニュアルフォーカス、シングルフォーカス、連続オートフォーカスを切り替えることができます。
また、スペックには表れてきませんが、X-T100は全体的に操作感がモッサリしていて、レスポンスの優れたX-T20と比べると、素早い設定変更が苦手です。
X-T100の物理ダイヤルはいくつか省略されていて、モードダイヤルと、2つのファンクションダイヤルがあります。フォーカスモード切換レバーはありません。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
防塵防滴 | − | − |
対応記録メディア | SD×1 (UHS-I) |
SD×1 (UHS-I) |
重さ (バッテリー、記録メディア含む) |
448g | 383g |
重さ (本体のみ) |
399g | 333g |
サイズ (幅x高さx奥行き) |
121×83×47mm | 118×83×41mm |
カラーバリエーションの違い
カラーバリエーションは、X-T100はブラック、ダークシルバー、シャンパンゴールドの3種類のカラーバリエーションがありますが、X-T20はブラックとシルバーのみです。
バッテリーライフの違い
どちらの機種も同じバッテリー(NP-W126S)を搭載していますが、バッテリーライフには違いがあります。X-T100の撮影可能枚数は約430枚、X-T20では350枚となっています。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
バッテリー | NP-W126S (1260mAh) |
NP-W126S (1260mAh) |
撮影枚数(CIPA基準) | 430枚 | 350枚 |
カラーフィルターの違い
X-T100に使われているイメージセンサーは、2×2の4画素を一単位とした周期的なカラーフィルター配列=「ベイヤー方式」が採用されており、モアレや偽色が発生しやすいという特性があります。一方のX-T20に採用されている「X-Trans CMOS」は6×6の36画素を一単位とした配列にすることでモアレや偽色の発生を軽減させ、解像感を向上させることを実現しています。
一般論でいえば、「X-Trans CMOSの方が画質が良い」といわれがちですが、実際に撮り比べた画像などをみると、必ずしも両者に差異があるわけでもなく、好みの問題のように思います。X-T20の方が上位モデルということで格が上といわれる「X-Trans CMOS」を採用していますが、富士フイルムのユーザーの間でも、どちらの画質を好むかは意見が分かれているところではあります。ですので、カメラ初心者の方であれば、そんなに違いを気にするほどではないでしょう。
実際の写真を見ても、どちらのカメラもJPEGの画像は鮮やかでディテールを保持しており、低照度でのノイズレベルは良好です。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
有効画素数 | 2,424万画素 | 2430万画素 |
センサータイプ | ベイヤー方式CMOS | X-Trans CMOS III |
センサーサイズ | APS-C (23.6×15.6 mm) |
APS-C (23.6×15.6 mm) |
ISO感度 (拡張感度) |
200~12800 (拡張:100,25600,51200) |
200~12800 (拡張:100〜51200) |
ボディ手ぶれ補正 (最大補正効果) |
− | − |
画像処理プロセッサ | X-Processor Pro | X-Processor Pro |
RAW出力 | 14bit非圧縮(RAF独自フォーマット) | 14bit非圧縮(RAF独自フォーマット) |
アスペクト比 | – 3:2 – 16:9 – 1:1 |
– 3:2 – 16:9 – 1:1 |
AF性能・連射性能の違い
どちらの機種も像面位相差AFに対応しており、動態も高速で補足するオートフォーカス性能を備えます。スペック上は差がないように見えますが、「X-T100はS-AFを使用するときは問題ないが、動く被写体にピントを合わせることができない」、「顔検出の精度が低い」といった評価が多数見受けられます。AFシステム全般については、X-T20が遥かに優れていると考えたほうがよいでしょう。
また、連射性能でも、X-T20の方がスポーツやアクションの撮影向けに優れています。メカシャッターでは8コマ/秒の連射ができて、バッファ性能が向上する低速オプション(5fps、4fps、3fps)もあります。
全体のバッファー性能でも、X-T20の方が優れていて、8コマ/秒の連射でJPEG62枚、RAWファイル25枚を撮影できますが、X-T100では6コマ/秒で26枚のJPEGしか撮影できず、バッファがあっという間に埋まってしまいます。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
AF方式 | インテリジェントハイブリッドAF (像面位相差AF) (コントラストAF) |
インテリジェントハイブリッドAF (像面位相差AF) (コントラストAF) |
シャッタースピード (メカシャッター) |
1/4000〜30秒 | 1/4000〜30秒 |
電子シャッター (サイレントモード) |
1/32000~30秒 | 1/32000~30秒 |
フラッシュ同調速度 | 1/180秒以下 | 1/180秒以下 |
最大連写とバッファ ※メカシャッター時 |
6.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEGは約26コマ) 3.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEGはカードフルまで) |
8.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEG 62枚、 可逆圧縮RAW 25枚、非圧縮RAW 23枚) 3.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEG 81枚、 可逆圧縮RAW 32枚、非圧縮RAW 27枚) |
機能の違い
X-T100とX-T20には、タイムラプス、顔・瞳検出、フィルター、多重露出、ブラケティングなど、さまざまな撮影機能が用意されており、ほとんどが共通しています。ですが、いくつか違いがあります。
X-T100には、4K動画として撮影した画像を15コマ/秒の「4K 連写」として切り出す機能、ピントが異なる画像を複数撮影して全体にピントが合った画像を合成する「マルチフォーカス」という機能が追加されています。これらの機能はX-T20にはなく、今後のファームウェアのアップデートで機能追加がされるかは不明です。
さらに、X-T100はセルフィー(自撮り)の機能が充実していて、顔が正面を向いたときにシャッターが切れる「フェイス・オート・シャッター」、4人までのグループを認識できる「グループタイマー」、カップルを認識する「カップルタイマー」など、全11種類のセルフタイマーモードが搭載されています。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
測光方式 | TTL256分割 | TTL256分割 |
露出補正 | -5.0EV~+5.0EV | -5.0EV~+5.0EV |
フィルタ | -12種類 トイカメラ – ミニチュア – ポップカラー – ハイキー – ローキー – ダイナミックトーン – 魚眼 – ソフトフォーカス – クロススクリーン – パートカラー (レッド/オレンジ/イエロー/グリーン/ブルー/パープル) – 霞除去 – HDRアート |
8種類 – トイカメラ – ミニチュア – ポップカラー – ハイキー – ローキー – ダイナミックトーン – ソフトフォーカス – パートカラー (レッド/オレンジ/イエロー/グリーン/ブルー/パープル) |
HDR撮影 | ◯ | − |
多重露光 | ◯ | ◯ |
ボディ内RAW現像 | ◯ | ◯ |
インターバル撮影 | ◯ | ◯ |
タイプラプス動画 | ◯ | ◯ |
ブラケット | ・AE ・フィルムシュミレーション ・DR ・ISO ・WB |
・AE ・フィルムシュミレーション ・DR ・ISO ・WB |
その他 | – 4K連写 – マルチフォーカス |
チルト式モニターの違い
どちらのカメラもチルト式の液晶モニターを備えていますが、可動方法に違いがあります。X-T20は2方向の傾斜機構で上下のみに可動しますが、X-T100は上下だけでなく3方向にチルトするので、セルフィー(自撮り)に最適なモニターの向きを選択できます。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
画面サイズ | 3.0 インチ | 3.0 インチ |
ドット数 | 104万ドット | 92万ドット |
可動式モニタ | 3方向チルト | チルト式 |
タッチ操作 | ◯ | ◯ |
動画性能の違い
どちらのカメラも4K動画の撮影ができますが、X-T20は30fpsの最大フレームレートを持つところに違いがあります。X-T100は15fpsに制限されていて、これではかなりカクカクした動画になってしまうので、実用的は低いと思います。フルHDでは、どちらのカメラも最大フレームレートは60fpsです。
最大録画時間は、X-T100の方が長くなっており、4KでもフルHDでも30分です。X-T20はFull HDの場合15分、4Kの場合はわずか10分です。
また、X-T100のもう一つの付加価値として「ハイスピード動画」が撮影できることがあります。最大4倍速のHDのスローモーションクリップを撮影することができます。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
記録方式 | MOV/リニアPCM | MOV/リニアPCM |
圧縮方式 | H.264 | H.264 |
4K | UHD:15p 約30分まで | UHD:30p 約10分まで |
Full HD | FHD:60p 約30分まで | FHD:60p 約15分まで |
HD | HD:60p 約30分まで | HD:60p 約30分まで |
ハイスピード動画 | HD 1.6x / 2x / 3.3x / 4x 約7分まで |
Bluetoothの違い
X-T100の通信機能はWi-Fi/Bluetoothの両方に対応している点で優れています。X-T20は1年ほど古い機種なのでWi-Fi接続のみを備えています。
Bluetoothですと、カメラとスマートフォンを接続するのがより簡単で、ペアリングした端末に撮影画像を自動転送したりできます。また、位置データを記録することにも利用できるため、SNSなどで写真をシェアするときに重宝します。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
デジタル入出力 | USB2.0 マイクロUSB |
USB2.0 マイクロUSB |
外部マイク入力端子 | φ3.5mm | φ3.5mm |
HDMI | Type D | タイプD |
Wi-Fi | ◯ | ◯ |
Buletuooth | ◯ (Ver 4.1) |
− |
電子水準器 | ◯ | − |
ホットシュー | ◯ | ◯ |
内蔵フラッシュ | ◯ (GN7.0) |
◯ (GN7.0) |
価格の違い
市場平均価格は、ミドルクラスに位置づけられているX-T20の方がやや高価です。どちらのカメラも画質は良好で遜色ありませんが、AF性能や連射、動画の性能などではX-T20が優れているという評価です。
X-T20も発売から1年以上が経過しているため、一部のネット小売店ではX-T100と同じくらいの値段に下がっているところもあります。動いている被写体を撮ることが多そうであれば、ちょっと多くお金を支払ってもAF性能が優れたX-T20を選択したほうがよいでしょう。
X-T100 | X-T20 | |
---|---|---|
メーカー | FUJIFILM | FUJIFILM |
レンズマウント | Xマウント | Xマウント |
発売日 | 2018年6月21日 | 2017年2月23日 |
参考価格 (ボディのみ) |
– ボディのみ 7万5,000円前後 |
– ボディのみ 8万円前後 |
画像引用:富士フイルム
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