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「ニコン Z6」と「ソニー α7 III」を比較してわかった10の違い

2018年8月28日

ついにニコンがフルサイズミラーレス「Z6」と「Z7」を発表しました。概ね素晴らしいカメラに仕上がっているようで、ツイッターとか見て回った印象では評価も上々といった感じ。

Z6はオールラウンドのフルサイズエントリーモデル、Z7は高画素モデルという位置づけになります。フルサイズのミラーレスにはLEICAもありますがこれは価格面や機能など極めてニッチな製品になるので、これまでフルサイズミラーレスといえは事実上はソニーのα7シリーズ、一択でした。ニコンZ6とZ7が登場したことによりα7シリーズにとって初のライバルが誕生したといえます。

さて、Z6とZ7の評価は、新しい大口径のレンズマウントを採用するという大胆な決断を行ったことなど、将来性に期待する声が多いように思います。その一方で、明らかになったカメラの一部仕様に関して、ライバルであるソニーとの比較して「正直、ガッカリした」という意見も少なくありません。

そこで今回はフルサイズのスタンダードモデル「ニコン Z6」と、その競合機種である「ソニーα7 III」の性能の違いを比較し、明らかにしてみたいと思います。

ボディサイズ

camerasize.comから製品のサイズを比較しました。

重さ(バッテリー、記録メディア含む)については、Z6が675gα7 III が650gとほぼ違いはありません。しかし、ボディサイズはZ6の方が一回り大きくなっています。これは、Z6が上面にモノクロのサブモニターを備えることや、マウントの口径がソニーよりも大きいこと、により生じた差でしょう。ソニーについてはコンパクトさを追求された反面、手が大きい人がホールドしたときに小指がはみ出てしまう、という不満の声もあります。Z6の方が全体的なサイズ感からしても、全面に大きくせせり出たグリップの形状からしても、ホールド性は高そうです。

Nikon_Z_6_vs_Sony_A7_III

 

Nikon_Z_6_vs_Sony_A7_III 

 

Nikon_Z_6_vs_Sony_A7_III

また、スペック上、α7 III は防塵防滴に配慮した設計(=完全な防塵防滴ではない)とされていますが、Z6は「防塵防滴」をうたっており、ハードな環境下でも堅牢さ信頼性が期待できます。

ただ、これに関しては一つ注意点があります。ニコンがカメラと同時に、次の3本のZマウントレンズを発売します。

  • 「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」:価格は136500円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」:価格は114000円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」:価格は83500円(税別)、2018年10月下旬予定。

この3本のレンズの仕様をよーく見ると「防塵・防滴に配慮した設計」と記載されていることです。つまり、カメラ本体は(完全な)防塵防滴であるのですが、当面はその性能を発揮できる対応レンズがない、ということです。ゆくゆくは完全に防塵防滴なレンズのラインナップも拡充されると思いますが、ちょっと残念なところです。

  Z6 α7 III
防塵防滴
(使用温度範囲)

(0℃~40℃、85%以下)
△ ※配慮した設計
(不詳)
重さ
(バッテリー、記録メディア含む)
675g 650g
重さ
(本体のみ)
585g 610g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
134×100.5×67.5mm 127×96×74mm

バッテリーとカードスロット

バッテリーライフは、Z6がファインダー使用時が310枚、背面モニター使用時が380枚であるのに対し、α7 III はそれぞれ610枚、710枚と2倍ぐらい差があります。1800枚以上(CIPA基準)も撮影できるD850など電池が長持ちする一眼レフに慣れたニコンユーザーからすると、この少なさはちょっと愕然とするかもしれません。

どちらのカメラもUSB充電に対応します。なお、Z6では別バッテリー「EN-EL15a」も使用できますが、その場合はUSB充電ができません。

  Z6 α7 III
バッテリー
(容量)
EN-EL15b
(不詳)
NP-FZ100
(2280mAh)
撮影枚数(CIPA基準) ファインダー使用時:310枚
背面モニター使用時:380枚
ファインダー使用時:610枚
モニター使用時:710枚
USB充電

記録メディアとスロット数

α7 III の記録メディアはSDカードのデュアルスロットとなっていますが、Z6はXQDカードを採用し、しかもスロットが1つだけとなってます。これに関してはかなり落胆する声があるようで、ツイッターなどでかなり叩かれてます。

ニコンがXQDカードを採用した理由は明らかにされていませんが、かなり奇妙です。SDカードはコンパクトであることに加え、将来的により高速なメディアとなること有力視されているからです。また、シングルスロットであるために、絶対に失敗できない仕事で使うカメラとはなりえない、という不満の声も多いようです。

もちろん、アマチュアが趣味で使う分にはシングルスロットでも問題ないので、プロでないならそこまで拒絶反応を示す必要はないと思います。また、α7 III の方もダウブルカードスロットではあるものの、スロットは2の方はUHS Ⅱに対応していないので、これだってプロ向けとしては残念な仕様でしょう。

  Z6 α7 III
対応記録メディア XQD×1 SD×2
(UHS-II/UHS-I)
※スロット1のみUHS-II

イメージセンサーのスペック

画質面の性能はかなり似通っていて、ほとんど差がありません。有効画素数は約24MPで、常用ISOが 100~51200、最大5段分の効果のある5軸手ブレ補正などスペックは概ね共通しています。

  Z6 α7 III
有効画素数 2450万画素 2420万画素
センサータイプ 裏面照射型 CMOS
(Exmor R CMOS)
センサーサイズ 35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
ISO感度
(拡張感度)
100~51200
(50,204800)
100〜51200
(50,204,800)
※動画は102,400まで
ローパスフィルターレス
ボディ手ぶれ補正
(最大補正効果)

(5軸 5.0段)

(5軸 5.0段)
画像処理プロセッサ EXPEED 6 BIONZ X
RAW出力 RAW 12ビット/14ビット
(ロスレス圧縮、圧縮、非圧縮)
14bit非圧縮

オートフォーカスと連写

AFや連射性能については、ソニーにアドバンテージがあります。

Z6の連射は、5.5コマ/秒(AF/AE追随)、12コマ/秒(AF追随)、α7 III はAF/AE追随で最大10コマ/秒の性能を持ちますし、バッファも全体的にα7 III の方が多めです。また、測距点もZ6は273点を持ちますがセンサーの90%をカバーできるといいますが、、α7 III は更に上をいく693点でセンサーの93%をカバーします。

それと、Z6は顔AFのみで、α7 III にある瞳AFがありませんね。これは初心者でも簡単にガチピンができてしまうという優れた機能で、ポートレート撮影をする人、子どもの写真を撮る親御さんなどには重宝するところです。ソニーの瞳AFはさまざまなレビューなどでも精度の高さが評価されていますが、Z6の顔AFがどのくらいの認識精度なのかはまだ明らかとなっていません。

  Z6 α7 III
AF方式 ハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
ハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
AF測距点
(像面位相差)
273点 693点
AF測距点
(コントラスト)
不明 425点
検出範囲 -2~19 EV -3〜20EV
シャッタースピード
(メカシャッター)
1/8000~30秒 1/8000〜30秒
電子シャッター
(サイレントモード)
1/8000~30秒 1/8000〜30秒
フラッシュ同調速度 1/200秒以下 1/250秒以下
最大連写とバッファ
※メカシャッター時
– 5.5コマ/秒(AF/AE追随)
– 12コマ/秒(AF追随)
– 10コマ/秒(AF/AE追随)
– 10コマ/秒(AF追随)
連続撮影バッファ – 12 bit RAW ロスレス圧縮:35枚
– 14 bit RAWロスレス圧縮:43枚
– 12 bit RAW 圧縮:37枚
– 14 bit RAW 圧縮:43枚
– 12 bit RAW 非圧縮:33枚
-14 bit RAW 非圧縮:34枚
– JPEG FINE:44枚
– JPEG BASIC:46枚
– RAW:89枚
– RAW 非圧縮:40枚
– RAW+JPEG:79枚
– RAW 非圧縮+JPEG:36枚
– JPEG エクストラファイン:163枚
– JPEG スタンダード:177枚
AFフレーム – ピンポイントAF
– シングルポイントAF
– ダイナミックAF
– ワイドエリアAF
– オートエリアAF
– ワイド
– ゾーン
– 中央
– フレキシブルスポット S/M/L
– ロックオン
レリーズ耐久回数 約20万回 約20万回
その他 – 顔AF – 顔AF
– 瞳AF

ファインダー・背面モニター

ファインダー

ファインダーと背面モニターは、Z6の方が性能が高そうです。高精細ですし、ファインダー倍率もちょっとだけ高め。

  Z6 α7 III
ファインダー EVF EVF
ドット数 369万ドット 有機EL 236万ドット 有機EL
ファインダー視野率
(上下/左右)
100% / 100% 100 % / 100 %
ファインダー倍率
(35mm換算)
0.8倍 0.78倍
アイポイント 21mm 27mm
最高フレームレート 60fps 60fps
その他    

背面モニター

  Z6 α7 III
画面サイズ 3.2インチ 3.0型
ドット数 210万ドット 92万ドット
可動式モニタ チルト式 チルト方式
タッチパネル
その他    

動画の性能

動画の性能も似通っていますが、ニコンがDMI出力で4:2:2 10bit N-LOGに対応していることが有利な点です。

  Z6 α7 III
ファイル形式 – MOV
– MP4
– XAVC S
– AVCHD 2.0
映像圧縮方式 H.264/MPEG-4 AVC H.264/MPEG-4 AVC
4K – 30p/25p/24p
  (29分まで)
– 30p/24p
– 100/60Mbps
(29分まで)
FHD – 120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
(29分まで)
– 120/60/30/24p
– 100/60/50Mbps
(29分まで)
HDR – N-Log出力 – S-Log2
– S-Log3
– HLG
外部出力 4:2:2 10bit – 4:2:2 8bit

インターフェース

インターフェース類も特に大きな差は見られません。

  Z6 α7 III
デジタル入出力 Type-C端子
(SuperSpeed USB)
– USB Type-C
– Micro USB
HDMI Type C Type D
外部マイク入力端子 φ3.5mm φ3.5mm
ヘッドホン出力端子 φ3.5mm φ3.5mm
Wi-Fi
Buletuooth
電子水準器
ホットシュー
内蔵フラッシュ

レンズラインナップ

ニコンZマウントで、カメラとほぼ同時に発売されるレンズは次の3本です。

  • 「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」:価格は136500円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」:価格は114000円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」:価格は83500円(税別)、2018年10月下旬予定。
  • 「マウントアダプター FTZ」:価格は36500円(税別)、2018年9月下旬予定。

今後発売予定のレンズロードマップも公開していますが、これによると2018年中に発売されるのは上記3本のみのようで、当面はこれだけで運用していくことになります。

  • 2018年(3本)
    • NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
    • NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
    • NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
  •  2019年(6本)
    • NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
    • NIKKOR Z 20mm f/1.8
    • NIKKOR Z 85mm f/1.8
    • NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
    • NIKKOR Z 70-200mm f/2.8
    • NIKKOR Z 14-30mm f/4
  • 2020年(6本)
    • NIKKOR Z 50mm f/1.2
    • NIKKOR Z 24mm f/1.8
    • NIKKOR Z 14-24mm f/2.8
    • その他3本
  • 2021年(8本)
    • 8本

新しいマウントのカメラを発売した初期段階ですのでレンズ本数が少ないのは避けて通れない弱点です。レンズの数と質では、先んじてフルサイズミラーレスを投入したソニーが圧倒的に有利です。それと、ちょっと残念なところが、価格です。もっとも安い「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」でも定価で8万円ぐらいします。。

それと、レンズに関してソニーの良いところは、レンズメーカーに対して、マウントの仕様を開示していることがあります。これにより、カールツァイス、シグマ、コシナ、シグマといったレンズメーカーが「Eマウント」仕様に準拠したレンズが効率よく開発できて、高級レンズからお手頃価格なレンズまで幅が拡充しています。

ニコンは一眼レフの時代から、マウントの仕様を開示しない姿勢を貫いていましたが、残念ながらこれはZマウントでも同様のようです。ニコン以外のレンズメーカーはリバースエンジニアリングする必要があり、サードパーティ製レンズの拡充は期待できません。

なお、専用のFTZ マウントアダプターを使えば膨大なラインナップのあるFマウントのレンズが使えますから、既存のニコンの一眼レフを使っていたユーザーであれば問題ないでしょう。しかし、新規ユーザーが手を出すのはちょっとハードルが高いと思います。

価格

カメラ本体の価格は、Z6が27万円前後と予想されています。スペック的にZ6の方が圧倒的に上ということでもないので、α7 III が23万円前後で販売されていることを考えると、Z6は手が出しづらい印象です。また、カメラの値段もさることながら、Zマウントはキットレンズが10万円以上で、もっとも安い「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」でも定価で8万円ぐらいするので、一通りの撮影環境を構築するのに、けっこうな軍資金が必要になります。

  Z6 α7 III
メーカー Nikon SONY
レンズマウント Zマント FEマウント
発売日 2018年11月下旬 2018年3月23日
参考価格 – ボディのみ:27万円前後
– 24-70mm レンズキット:
  34万円前後
– FTZ マウントアダプターキット:
  29万円前後
– 24-70 + FTZ マウントアダプターキット:
  36万円前後
– ボディのみ
  23万円前後
– レンズキット
  26万円前後
キットレンズ NIKKOR Z 24-70mm f/4 S FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS

 

まとめ

カメラの良し悪しはスペックだけでは語ることはできません。スペックに表れない操作性や使い勝手もあるからです。

しかし、カタログスペックの比較でいえば、Z6に対して、α7 IIIの方がAF/AE追随時の連写性能とバッファ、バッテリーライフ、デュアルスロットなど、勝る部分が多いように思います。Z6の方が有利な部分は、ボディのホールド性と背面モニターの品質ぐらいでしょうか。

ソニーはフルサイズミラーレスでは先陣を切っていて、新技術の開発も旺盛なメーカーであるため、致し方ない差だと思います。しかしながら、フルサイズミラーレスがこれまでソニー一択だった状況に対して、これからはニコンZシリーズが加わったことは、カメラファンにとっては朗報以外のなにものでもありません。2メーカーの切磋琢磨、競争によりフルサイズミラーレスの更なる進化に期待したいところです。

 

画像引用:Nikon、Sony