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「ニコン Z7」と「ソニー α7R III」を比較してわかった10の違い

ついにニコンがフルサイズミラーレス「Z6」と「Z7」を発表しました。概ね素晴らしいカメラに仕上がっているようで、ツイッターとか見て回った印象では評価も上々といった感じ。

Z6はオールラウンドのフルサイズエントリーモデル、Z7は高画素モデルという位置づけになります。フルサイズのミラーレスにはLEICAもありますがこれは価格面や機能など極めてニッチな製品になるので、これまでフルサイズミラーレスといえは事実上はソニーのα7シリーズ、一択でした。ニコンZ6とZ7が登場したことによりα7シリーズにとって初のライバルが誕生したといえます。

さて、Z6とZ7の評価は、新しい大口径のレンズマウントを採用するという大胆な決断を行ったことなど、将来性に期待する声が多いように思います。その一方で、明らかになったカメラの一部仕様に関して、ライバルであるソニーとの比較して「正直、ガッカリした」という意見も少なくありません。

そこで今回はフルサイズの高画素モデル「ニコン Z7」と、その競合機種である「ソニーα7R III」の性能の違いを比較し、明らかにしてみたいと思います。

ボディサイズ

camerasize.comから製品のサイズを比較しました。

重さ(バッテリー、記録メディア含む)については、Z7が675gα7 III が657gと僅差です。しかし、ボディサイズはZ7の方が一回り大きくなっています。これは、Z7が上面にモノクロのサブモニターを備えることや、マウントの口径がソニーよりも大きいこと、により生じた差でしょう。ソニーについてはコンパクトさを追求された反面、手が大きい人がホールドしたときに小指がはみ出てしまう、という不満の声もあります。Z7の方が全体的なサイズ感からしても、全面に大きくせせり出たグリップの形状からしても、ホールド性は高そうです。

Nikon_Z_7_vs_Sony_A7R_III

また、スペック上、α7R III は防塵防滴に配慮した設計(=完全な防塵防滴ではない)とされていますが、Z7は「防塵防滴」をうたっており、ハードな環境下でも堅牢さ信頼性が期待できます。

ただ、これに関しては一つ注意点があります。ニコンがカメラと同時に、次の3本のZマウントレンズを発売します。

  • 「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」:価格は136500円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」:価格は114000円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」:価格は83500円(税別)、2018年10月下旬予定。

この3本のレンズの仕様をよーく見ると「防塵・防滴に配慮した設計」と記載されていることです。つまり、カメラ本体は(完全な)防塵防滴であるのですが、当面はその性能を発揮できる対応レンズがない、ということです。ゆくゆくは完全に防塵防滴なレンズのラインナップも拡充されると思いますが、ちょっと残念なところです。

バッテリーライフ

バッテリーライフは、Z7がファインダー使用時が330枚、背面モニター使用時が400枚であるのに対し、α7R III はそれぞれ530枚、650枚と1.5倍以上の差があります。1800枚以上(CIPA基準)も撮影できるD850など電池が長持ちする一眼レフに慣れたニコンユーザーからすると、この少なさはちょっと愕然とするかもしれません。

どちらのカメラもUSB充電に対応します。なお、Z7では別バッテリー「EN-EL15a」も使用できますが、その場合はUSB充電ができません。

  Z7 α7R III
防塵防滴
(使用温度範囲)

(0℃~40℃、85%以下)
△ ※配慮した設計
(不詳)
バッテリー
(容量)
EN-EL15b
(不詳)
NP-FZ100
(2280mAh)
撮影枚数(CIPA基準) ファインダー使用時:330枚
背面モニター使用時:400枚
ファインダー使用時:530枚
モニター使用時:650枚
USB充電
重さ
(バッテリー、記録メディア含む)
675g 657g
重さ
(本体のみ)
585g 572g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
134×100.5×67.5mm 127×96×63mm

記録メディアとスロット数

α7R III の記録メディアはSDカードのデュアルスロットとなっていますが、Z7はXQDカードを採用し、しかもスロットが1つだけとなってます。これに関してはかなり落胆する声があるようで、ツイッターなどでかなり叩かれてます。

ニコンがXQDカードを採用した理由は明らかにされていませんが、かなり奇妙です。SDカードはコンパクトであることに加え、将来的により高速なメディアとなること有力視されているからです。また、シングルスロットであるために、絶対に失敗できない仕事で使うカメラとはなりえない、という不満の声も多いようです。

もちろん、アマチュアが趣味で使う分にはシングルスロットでも問題ないので、プロでないならそこまで拒絶反応を示す必要はないと思います。

  Z7 α7R III
対応記録メディア XQD×1 SD×2
(UHS-II/UHS-I)

イメージセンサーのスペック

α7R III の有効画素数は4240万画、Z7はさらに高画素の4575万画素となっています。常用ISOはZ7が 64~25600、α7R III が100〜32,000と少し幅に違いがあります。Z7の5軸手ブレ補正の効果は最大5段分で、α7R III は5.5段分となっており少し優れています。

なお、α7R III にはイメージセンサーをずらしながらより高解像の画像を合成できる「ピクセルシフト撮影」の機能がありますが、Z7にはそういった機能はありません。

  Z7 α7R III
有効画素数 4575万画素 4,240万画素
センサータイプ 裏面照射型 CMOS
(Exmor CMOS)
センサーサイズ 35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
ISO感度
(拡張感度)
64~25600
(32,102400)
100〜32,000
(50〜102400)
ローパスフィルターレス
ボディ手ぶれ補正
(最大補正効果)

(5軸 5.0段)

(5軸 5.5段)
画像処理プロセッサ EXPEED 6 BIONZ X
その他   – ピクセルシフト撮影

オートフォーカスと連写

AFや連射性能については、ソニーにアドバンテージがあります。

Z7の連射は、最大で9コマ/秒(AF追随)となっていますが、これは露出を最初のショットで固定したスピードです。Z7はAF/AE追随では最大で5.5コマ/秒の連射ですが、α7 III ではAF/AE追随でも最大10コマ/秒が可能です。バッファも全体的にα7 III の方が多めで、Z7はJPEGのみでも連続撮影枚数が25枚であり、数秒でバッファを使い切ってしまいます。α7R III はセンサ上にLSIチップが搭載されており、高速速度による高バッファを実現しています。

測距点はZ7が少し優れていて、493点(α7R III は399点)と多くのポイントを持ち、縦・横90%をカバーしてます。ソニーのカバーエリア68%であり、この領域の外側はコントラスト検出AFがのみ動作します。

Z7は顔AFのみで、α7R III にある瞳AFがありませんね。これは初心者でも簡単にガチピンができてしまうという優れた機能で、ポートレート撮影をする人、子どもの写真を撮る親御さんなどには重宝するところです。ソニーの瞳AFはさまざまなレビューなどでも精度の高さが評価されていますが、Z7の顔AFがどのくらいの認識精度なのかはまだ明らかとなっていません。

また、レリーズ耐用回数は、Z7が約20万回なのに対して、α7R III は約50万回となっており、シャッターユニットの耐久性には違いがあります。

  Z7 α7R III
AF方式 ハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
ファストハイブリッドAF
(像面位相差+コントラスト)
AF測距点
(像面位相差)
493点 399点
AF測距点
(コントラスト)
不明 425点
検出範囲 -1~19 EV -3〜20EV
シャッタースピード
(メカシャッター)
1/8000~30秒 1/8000〜30秒
フラッシュ同調速度 1/200秒以下 1/250秒以下
最大連写とバッファ
※メカシャッター時
– 5.5コマ/秒(AF/AE追随)
– 9コマ/秒(AF追随)
– 10コマ/秒(AF/AE追随)
– 10コマ/秒(AF追随)
連続撮影バッファ – 12 bit RAW ロスレス圧縮:23枚
– 14 bit RAWロスレス圧縮:19枚
– 12 bit RAW 圧縮:23枚
– 14 bit RAW 圧縮:19枚
– 12 bit RAW 非圧縮:23枚
– 14 bit RAW 非圧縮:18枚
– JPEG FINE:25枚
– JPEG BASIC:25枚
– RAW:76枚
– RAW 非圧縮:28枚
– RAW+JPEG:76枚
– RAW 非圧縮+JPEG:28枚
– JPEG エクストラファイン:76枚
– JPEG スタンダード:76枚
レリーズ耐久回数 約20万回 約50万回
その他 – 顔AF – 顔AF
瞳AF

ファインダー・背面モニター

ファインダー

ファインダーと背面モニターは、Z7の方が少しだけ性能が高そうです。高精細ですし、ファインダー倍率もちょっとだけ高め。

なお、Z7のリフレッシュレートは60fpsですが、α7R IIIでは60fpsから120fpsの間で選択が可能で、バッテリーを長持ちさせたいときは、リフレッシュレートを落とす設定があります。

  Z7 α7R III
ファインダー EVF EVF
ドット数 369万ドット 有機EL 368万ドット 有機EL
ファインダー視野率
(上下/左右)
100% / 100% 100 % / 100 %
ファインダー倍率
(35mm換算)
0.8倍 0.78倍
アイポイント 21mm 27mm
最高フレームレート 60fps 120fps

背面モニター

どちらのカメラもチルト式でタッチパネルに対応します。

  Z7 α7R III
画面サイズ 3.2インチ 3.0型
ドット数 210万ドット 144万ドット
可動式モニタ チルト式 チルト方式
タッチパネル

動画の性能

動画の性能も似通っていますが、Z7は独自のプロファイル「N-LOG」をサポートします。4:2:2 10bit に対応していますが、HDMI出力でしか使用できないため外部レコーダーが必要です。α7R III はHDMIポート経由で4:2:2 8bitの出力しか対応していませんが、S-Log2とS-Log3は内部記録ができます。

また、Z7の機能の一つとして、カメラに4Kのビデオタイムラプスがあります。インターバル時間と設定することで自動的に動画ファイルが作成されます。4Kタイムラプスを30pまで、Full HDでは60pまで作成できます。さらに、8Kタイムラプスのオプションもありますが、動画の作成には別のソフトウェアが必要です

  Z7 α7R III
ファイル形式 – MOV
– MP4
– XAVC S
– AVCHD 2.0
映像圧縮方式 H.264/MPEG-4 AVC H.264/MPEG-4 AVC
4K – 30p/25p/24p
(29分まで)
– 30p/24p
– 100/60Mbps
(29分まで)
FHD – 120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
(29分まで)
– 120/60/30/24p
– 100/60/50Mbps
(29分まで)

インターフェース

ほぼ同じで特に差はないと考えて差し支えありません。

  Z7 α7R III
デジタル入出力 Type-C端子(SuperSpeed USB) – USB Type-C
– Micro USB
HDMI Type C Type D
外部マイク入力端子 φ3.5mm φ3.5mm
ヘッドホン出力端子 φ3.5mm φ3.5mm
Wi-Fi
Bluetooth
電子水準器
ホットシュー
内蔵フラッシュ
その他   – シンクロターミナル

レンズラインナップ

ニコンZマウントで、カメラとほぼ同時に発売されるレンズは次の3本です。

  • 「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」:価格は136500円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」:価格は114000円(税別)、2018年9月下旬予定。
  • 「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」:価格は83500円(税別)、2018年10月下旬予定。
  • 「マウントアダプター FTZ」:価格は36500円(税別)、2018年9月下旬予定。

今後発売予定のレンズロードマップも公開していますが、これによると2018年中に発売されるのは上記3本のみのようで、当面はこれだけで運用していくことになります。

  • 2018年(3本)
    • NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
    • NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
    • NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
  •  2019年(6本)
    • NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
    • NIKKOR Z 20mm f/1.8
    • NIKKOR Z 85mm f/1.8
    • NIKKOR Z 24-70mm f/2.8
    • NIKKOR Z 70-200mm f/2.8
    • NIKKOR Z 14-30mm f/4
  • 2020年(6本)
    • NIKKOR Z 50mm f/1.2
    • NIKKOR Z 24mm f/1.8
    • NIKKOR Z 14-24mm f/2.8
    • その他3本
  • 2021年(8本)
    • 8本

新しいマウントのカメラを発売した初期段階ですのでレンズ本数が少ないのは避けて通れない弱点です。レンズの数と質では、先んじてフルサイズミラーレスを投入したソニーが圧倒的に有利です。それと、ちょっと残念なところが、価格です。もっとも安い「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」でも定価で8万円ぐらいします。。

それと、レンズに関してソニーの良いところは、レンズメーカーに対して、マウントの仕様を開示していることがあります。これにより、カールツァイス、シグマ、コシナ、シグマといったレンズメーカーが「Eマウント」仕様に準拠したレンズが効率よく開発できて、高級レンズからお手頃価格なレンズまで幅が拡充しています。

ニコンは一眼レフの時代から、マウントの仕様を開示しない姿勢を貫いていましたが、残念ながらこれはZマウントでも同様のようです。ニコン以外のレンズメーカーはリバースエンジニアリングする必要があり、サードパーティ製レンズの拡充は期待できません。

なお、専用のFTZ マウントアダプターを使えば膨大なラインナップのあるFマウントのレンズが使えますから、既存のニコンの一眼レフを使っていたユーザーであれば問題ないでしょう。しかし、新規ユーザーが手を出すのはちょっとハードルが高いと思います。

価格

カメラ本体の価格は、Z7が44万円前後と予想されています。スペック的にZ7の方が圧倒的に上ということでもないので、α7R III が32万円前後で販売されていることを考えると、Z7は割高に感じるかもしれません。また、カメラの値段もさることながら、Zマウントはキットレンズが10万円以上で、もっとも安い「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」でも定価で8万円ぐらいするので、一通りの撮影環境を構築するのに、けっこうな軍資金が必要になります。

  Z7 α7R III
メーカー Nikon SONY
レンズマウント Zマント FEマウント
発売日 2018年9月下旬 2017年11月25日
参考価格 – ボディのみ:44万円前後
– 24-70mm レンズキット:
51万円前後
– FTZ マウントアダプターキット:
45万円前後
– 24-70mm + FTZ マウントアダプターキット:
53万円前後
– ボディのみ
32万円前後

まとめ

カメラの良し悪しはスペックだけでは語ることはできません。スペックに表れない操作性や使い勝手もあるからです。

しかし、カタログスペックの比較でいえば、Z7に対して、α7R IIIの方がAF/AE追随時の連写性能とバッファ、レリーズ耐用回数、バッテリーライフ、デュアルスロット、優れたコストパフォマンスなど、勝る部分が多いように思います。

画像引用:Nikon、Sony