「SONY α7R III」と「Nikon D850」の違いを比較してみた – 超高画素カメラの勝者は?

「SONY α7R III」と「Nikon D850」の違いを比較してみた – 超高画素カメラの勝者は?

ソニーが、フルサイズのミラーレス一眼 α7R III を2017年11月25日に発売しました。現在、フルサイズのミラーレス一眼はα7シリーズ、α9シリーズとして発売されています。α7、α9シリーズはそれぞれ特性というか強みに応じて住み分けがされていますが、今回のα7R III はラインナップの中でも高解像度モデルに当たります。

高解像のレンズ交換カメラとしては、一眼レフのNikon「D850」が話題です。ニコンのフルサイズで初となる「裏面照射CMOSセンサー」を採用し、有効画素数は4575万画素。しかも連写も速いというモンスターマシンで売れまくってます。どちらを買おうか迷ってる人も多いと思いますので、ここではミラーレス一眼の高解像モデルの最高峰となる「α7R III」と一眼レフの「D850」の違いを徹底比較していきます。

「SONY α7R III」と「Nikon D850 の主な違い10個

価格:互角(ほぼ同じ)

執筆時点では、実勢価格は α7R III が約37万円、D850が約40万円 です。大きな差はありません。今後の需給状況によっては価格は変動していくでしょうが、いずれの機種も発売日は近いので、ベースとなる価格に差はありません。すこーしだけα7R III が安いぐらいです。

  SONY α7R III Nikon D850
メーカー SONY Nikon
発売日 2017年11月25日 2017年9月8日
参考価格
(ボディのみ)
約37万円 約40万円

サイズ:「α7R III」の勝ち

α7R III のボディは防塵防滴で外装素材にはマグネシウム合金を使用し、重量は657gという驚きの軽さ。一方のD850は1,005g ですので、持ち運びやすさ、サイズ感としては圧倒的にα7R III の勝ちといえます。

  SONY α7R III Nikon D850
防塵防滴
重さ
(バッテリー、
記録メディア含む)
657g 1005g
サイズ
(幅x高さx奥行き)
約127×96×63mm 約146×124×79mm

重量だけでなくサイズも下記のように大きな差がありますね。

サイズ比較

奥行きサイズはさほど違いはなく、両者ともグリップが深く、ホールド感は十分と思います。

α7R III vs D850

 

バッテリーライフ:「D850」の勝ち

α7R III の撮影可能枚数は530枚(EVF)、650枚(背面モニター)、D850は1,840枚となっており、2倍以上の開きがありますのでこれはもうD850の勝ちになります。バッテリーはファインダーの表示に電力を消費しない一眼レフが優位といったところでしょうか。

ただ、α7R III もバッテリーライフの短さの課題に対応するために、USB充電が可能となっており、外でもモバイルバッテリーなどで充電ができるようになっています。また、オプションとして、バッテリーが2本搭載できる縦位置グリップVG-C3EM(税別3万5,000円)が発売されます。

 

 
  SONY α7R III Nikon D850
撮影枚数
(CIPA基準)
液晶モニタ 650枚
EVF 530枚
1,840枚
USB充電
対応記録メディア SD×2
(UHS-II/UHS-I)
XQD・SD

画質:互角

イメージセンサーは、どちらも高感度でノイズの少ない裏面照射タイプを採用。有効画素数は α7R III が4,240万画素、D850が4,575万画素、と画素の多さでは若干ですがD850が有利です。また、ISO感度もα7R III の常用の最低感度がISO 100 なのに対し、D850は ISO 64であり、広いダイナミックレンジを持つ撮影ができそうです。D850の画像処理エンジンはプロ用のD5(約65万円)と同じEXPEED 5 を積んでいて、精緻な描写が期待できます。

SonyAlphaRumorsに掲載されているダイナミックレンジのテストによると、低感度の一部を除いた全体的なダイナミックレンジの性能ではα7R III がD850に勝っています。

  SONY α7R III Nikon D850
有効画素数 4,240万画素 4,575万画素
センサータイプ CMOS
(Exmor CMOS)
CMOS
センサーサイズ 35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
35mmフルサイズ
(35.6×23.8mm)
ISO感度
(拡張最高感度)
100〜32,000
(50〜102400)
64〜25,600
(32〜108400)
画像処理エンジン BIONZ X  EXPEED 5

Imaging Resource に、ソニーα7R III とα7R II、ニコンD850との等倍切り出しの比較サンプル画像が掲載されています。

スペック的には、D850の方が広いダイナミックレンジを実現できそうですが、実際にサンプルをみるとそこまで差が無いようです。むしろ、のディテールは、α7R III の方が細部まで再現されているような印象を持ちます。

(左 α7R III、右 D850)

(左 α7R III、右 D850)

DxOMarkのテストによるイメージセンサーのスコアは、α7R III 、D850ともに100であり、同点という結果です。色の再現、ダイナミックレンジは僅差でD850が上回っているものの、低照度での撮影はα7R III が大幅にD850を上回っているとのこと。

また、ダイナミックレンジは最低感度ではD850が優っているが、それより上の感度ではα7R III とD850のダイナミックレンジは同等で、ISO640あたりからα7R III がダイナミックレンジでリードする結果となります。低照度での明るい場所や三脚を使った撮影がメインの場合はD850が有利であるものの、それより高い感度ではα7R III のセンサーが良好という結果とのことです。

 

    α7R III         α7R II          D850     
Overall Score
(総合点)
100 98 100
Color Depth
(色の再現)
26 26 26.4
Dynamic Range
(ダイナミックレンジ)
14.7 13.9 14.8
Low-Light ISO 
(許容できる最高のISO感度)
3523 3434 2660

一方、より高画素を活かした撮影ができる、という意味では、α7R IIIの勝利といえます。理由としては、α7R III には5軸5.5段のボディ内手ぶれ補正が搭載されているからです。「D850でもレンズ内手ぶれ補正が使える」という意見もあると思いますが、当然すべてレンズが対応していませんし、ボディ内手ぶれ補正はレンズ式と違って回転ブレやシフトブレにも効くのでメリットが大きいです。他社製レンズをアダプター経由で使っても手ぶれ補正が機能するので、ライカなどオールドレンズの着用も楽しめます

さらに、オマケ機能としてα7R IIIには、ピクセルをずらしながら4連写するピクセルシフト撮影と写真を合成するImage Edgeによって、なんと1億7000万画素の写真をつくることができてしまいます。リコーのPENTAX K-1にある「リアル・レゾリューション・システム」と同様の機能のあれです。D850にはこういった機能はありません。

ボディ内で合成できないた一手間かかりますが、魅力的な機能です。全画素にRGBすべての色情報を持たせることが可能となっているため、高精細でもモアレやノイズはなくなり、美しい色で写真が撮れる、ということです。

  SONY α7R III Nikon D850
手ぶれ補正
(5軸 5.5段)
画像処理プロセッサ BIONZ X EXPEED 5
その他 ピクセルシフト撮影  

 

AF性能:「互角」

α7R III は電子シャッター時もメカシャッター時も、連写は最高10コマ/秒、連続撮影可能枚数は、圧縮RAWで76枚、JPEGで76枚。

対するD850はボディ単体で連写は最高7コマ/秒、連続撮影可能枚数は、圧縮RAWで51枚。シャッター速度はどちらも同じ 1/8,000秒〜30秒。バッテリーパック追加で連写は9コマ/秒までブーストできますが、それでもα7R III の方が高速ですね。バッファである連続撮影可能枚数もα7R IIIが有利です。

ただ、これまで高画素機といえば「連写が遅い」というのがカメラの常識でしたが、どちらも高速連写を実現した素晴らしい機種です。

  SONY α7R III Nikon D850
シャッタースピード 1/8000〜30秒(メカ) 1/8000秒~30秒
電子先幕シャッター
フラッシュ同調速度 1/250秒以下 1/250秒以下
連続撮影コマ数 10コマ/秒(AF追従) 7コマ(AF追従)
連続撮影バッファ RAWあり: 76枚
RAWなし: 76枚
RAWあり: 51枚
シャッター耐久回数 約50万回  

AF性能:互角

オートフォーカスのカバーエリアが広いのもα7R III、399点の像面位相差AFセンサーと、425点のコントラストAFで高密度にカバー。画面の大部分を高密度にカバーしています。

D850は153点です。カバーエリアは画面の中央付近のみで、そんなに広くありません。

AF精度は像面位相差AFとコントラストAFのハイブリッドであるα7R IIIが有利ですが、追従性はD850が高いといわれます。レビューなどでも、動きモノを捉えつづける状況では、ピントの合う確率はD850が高いといわれます。

一方、α7R III では画面の端っこでもAFが効くし、連写も早いです。それと、ポートレートを撮るならα7R IIIの瞳AFが抜群の効果を発揮するため、圧倒的な強みがあります。一眼レフでは難しいといわれる「ガチピン」のポートレートが素人でも撮れちゃうぐらい。D850にも顔認識の機能はありますが、瞳にまでピントを合わせてくれません。サイレント撮影にも対応(D850はライブビュー中のみサイレント撮影が可能、ファインダーでは使用できない)しているところもうれしい。

と、AF精度についてはスペック的にはα7R III の方が高そうですが、D850も動く被写体へも追従性を失わずに捉えられます。どういった被写体を撮りたいかによって評価の分かれるところなので「互角」といったところでしょうか。

  SONY α7R III Nikon D850
AF方式 ファストハイブリッドAF
(像面位相差AF、コントラストAF)
位相差AF
測距点 位相差 399点
コントラスト 425点
153点
クロスタイプ 99点
F8対応 15点
測距範囲 -3〜20EV -4~20EV
(全域-3EV)
その他 瞳AF
サイレント撮影
 

操作性・信頼性:「D850」の勝ち

操作系や使い勝手については、一長一短がありますので比較が難しいところです。一眼レフや、オリンパスや富士フィルムなど老舗メーカーのカメラに慣れているユーザーにはニコンの操作系が使いやすいでしょう。逆に、スマホやコンデジのように操作画面やタッチパネルなどに馴染んでいる人には、直感的な操作ができるα7R III が使いやすいと思います。

ただ、信頼性というか、ボディ外観の剛健さではD850が勝っていると思われます。仕上げや質感に安っぽさがまったく見受けられないところと、防滴性能ではα7R III はハードな撮影環境ではシーリングが甘いという指摘があって、内部に水が侵入してしまうケースがあるとのこと。

Nikon D850、Sony α7RIII、Canon 5D Mk IV、Olympus E-M1 IIの防滴性能を比較した結果

背面モニター・ファインダー:互角

ファインダー

本題に入る前に、ミラーレスと一眼レフの違いについて、ざっと触れてみたいと思います。

レンズ交換式のカメラにはミラーレス一眼レフ2種類があります。古くからあるレンズ交換式カメラといえば一眼レフであり、これはレフ板と呼ばれるカメラ内の鏡(ミラー)から反射した像を光学ファインダー(OVF)ごしに見ながら撮影するものです。

ミラーレス一眼と一眼レフの違い

一方のミラーレスは、イメージセンサーで受け取った光をEVF(電子ファインダ)に映して見ながら撮影する方式。一眼レフに使われているミラー(レフ板)やペンタプリズムはカメラ本体内を占領する大型部品であり、精密な光学設計も必要で構造が複雑なため、連写撮影に物理的な制約がある一方で、レンズに入ってくる世界を直接みることができたために、遅延がなくレスポンスの良い撮影ができるメリットがあります。

ミラーレスではミラーなどが不要になるため小型・軽量なボディが実現できるメリットがあります。イメージセンサーで受け取った情報を電子的にファインダーやモニターに表示する構成のため、部品数も少なくて済むし構造がシンプルです。

また、見える像も露出やホワイトバランスが適用された画像を確認しながらみることができます。しかし、センサーが受け取った情報を処理する必要があることから、見え方にタイムラグがあります。

今回のα7R III はまた368万ドットの高解像有機ELを採用しており、とても視認性の良いファインダーに仕上がっています。ただし、光学ファインダーに慣れていると発色の強ささ見え方に違和感があったりも。好みの問題でもありますが、EVFは露出と色温度の変化もリアルタイムで表示でき、あと、暗い場所となるとデジタルの力でファインダーを明るくできるα7R III EVFに優位性があります。

視野率はいずれも100%。ファインダー倍率ではα7R IIIが0.78倍、D850が0.75倍と僅差。D850もプロ用のD5(約65万円)と同性能ほどのファインダーで、切れ味のある装備です。ここも一長一短があるので互角でしょうか。

  SONY α7R III Nikon D850
ファインダー EVF OVF
ドット数 368万ドット
ファインダー視野率
(上下/左右)
100 % / 100 % 100 % / 100 %
ファインダー倍率
(35mm換算)
0.78倍 0.75倍
最高フレームレート 120fps

 

背面モニター

背面モニターの解像度は236万ドットのD850が有利です。ですが、ライブビューの撮影ではハイブリッドAFの高速オートフォーカスが可能なのはα7R IIIの強みです。D850はコントラストAFになるのでのAF速度が遅いです。

いずれに機種もタッチパネルに対応、チルト式モニターを備えておりますが、いかんせんD850はコントラストAFなので、全般的に背面モニタを使った快適な撮影という意味ではα7R III が有利といえます。

  SONY α7R III Nikon D850
画面サイズ 3.0型 3.2型
ドット数 144万ドット 236万ドット
可動式モニタ チルト方式 チルト方式
タッチ操作
その他 ファストハイブリッドAF コントラストAF

動画:「α7R III」の勝ち

動画関連では、映像に強いソニーだけあってα7R III が突出してます。画素加算のない全画素読み出しで、4K動画を記録。さらに、4K動画記録時の高感度画質が向上したほか、4K HDR映像(HLG)の記録に対応して広ダイナミックレンジで広色域の可能となっています。また、フルHDでの120fpsハイスピード撮影やスロー&クイックモーション、動画からの静止画切り出しにも対応しています。

  SONY α7R III Nikon D850
記録方式 XAVC S:LPCM
AVCHD:AC-3
MP4(H.264):リニアPCM
動画記録サイズ/
フレームレート
4K 30p
FHD 120p
S&Q FHD 1-120fps
4K 30p
FHD 120p
その他 HLG対応  

レンズ本数:「D850」の勝ち

D850はNikonのFマウント、α7R III はSONYのFEマウントのレンズをそれぞれ供給しています。レンズ本数としては一眼レフメーカーの老舗であるニコンのFマウントが100本以上のレンズを発売しているのに対して、SONYのFEマウントは数十本です。

SONYはフルサイズカメラの充実に力を入れており、近年はすごい勢いでFEマウントにラインナップの増強に力を入れています。サードパーティ製のレンズも充実しており、TAMRON、SIGMA、TOKINAなども対応レンズを発売していますが、まだまだNikonのレンズ群には届いていません。ソニーは、ドイツの名門カールツァイスの強力を得た良好なレンズを開発しており、質的にはニコンには負けてないと思いますし、数でもいずれ肉薄していくものと予測されます。が、現時点ではD850の勝ちといえます。

まとめと今後の展開

D850は低ISOのダイナミックレンジやレンズの本数など、高画素向けカメラの基本的な部分での性能が高い機種となっており、カメラファンにとってはオーソドックス的に魅了的な機種だと思います。特に良質なレンズがたくさん発売されており、後発のミラーレスではなかなか追いついていない部分ではあります。

一方のα7R III はコンパクトなボディに、5軸手ブレ補正や約1億7千万画素の写真が合成できるピクセルシフトほか、ハイブリッドAFによる高速オートフォーカスや瞳AFなど先駆的な機能がてんこ盛りとなっていることが魅力です。ファインダーも有機ELによる発色の良さに加えて、以前と比べて遅延も少なくなってきており、一眼レフの性能に追いついてきています。ダイナミックレンジなど基本性能もサンプル画像をみる限り、画質的にはほとんど差はないといえるでしょう。

また、伸びしろという意味では、一眼レフは基本的に「機械」ですから物理構造の制約があるため、大きな技術革新が生まれにくいものです。一方のミラーレスは、電子部品の寄せ集めであり、半導体がどんどん高速化・大容量化していくにつれて、まだまだ進歩していくものと考えられます。ですが、老舗のニコンもさすがの性能を叩き出しており、機械的に枯れたカメラの方が怯えることなく、使い込めるという利点があるでしょう。

老舗のカメラレビューサイトDPReviewが選ぶ2017年のプロダクトオブイヤーでは、ソニーα7R IIIが選定されており、ニコンD850は次点となっています。結果は僅差ではありますが「ソニー α7R III はプロとハイアマチュアの要求に応えるように設計された、スチルも動画も高機能な本当に素晴らしいカメラ」と評されています。